MCナイロン|エンジニアリングプラスチック

MCナイロンは、液体原料であるナイロンモノマーを直接金型に注入し、 重合・成型することで製造されるキャストナイロンです。 一般的な射出成形品や押出成形品とは異なり、 6ナイロンの特性を向上させた材料です。 機械部品や設備用途を中心に、金属部品の代替材料として幅広く使用されています。

MCナイロンとは

MCナイロンは、キャスト製法によって成形される ナイロン6系のエンジニアリングプラスチックです。 高い機械的強度と耐摩耗性、優れた摺動性を持っています。 板材、丸棒、パイプなどの形状で供給され、 切削加工による部品製作に適しています。

MCナイロンの板材と丸棒の外観写真(各種グレード)
MCナイロンの板材および丸棒(各種グレード)

MCナイロンの基本特性

MCナイロンは、以下の特性を備えています。

  • 機械的強度が高く、構造部品として使用できる
  • 摺動性に優れ、摩耗が起こりにくい
  • 耐摩耗性が高く、長寿命部品に適している
  • 耐薬品性を持ち、一般的な薬品環境で使用可能
  • 大型素材の製造が可能で、厚物や大径部品にも対応できる
項目代表値単位
材料種別キャストナイロン(ナイロン6)-
密度約1.14g/cm³
引張強度約80MPa
曲げ強度約110MPa
曲げ弾性率約3,000MPa
衝撃強度(シャルピー)約8kJ/m²
使用温度範囲-40 ~ 100
耐摩耗性良好-
※ 上記数値は代表値であり、保証値ではありません。 使用条件や環境により性能は異なる場合があります。

なぜMCナイロンは金属代替に使われるのか

MCナイロンは、金属部品で課題となりやすい 摩耗や騒音、重量を低減できる材料です。 摺動部品を中心に、金属からの置き換えが進んでいます。

金属からMCナイロンへ置き換える主な理由

金属部品は高い強度を持つ一方で、摩耗や潤滑管理が必要になります。
MCナイロンに置き換えることで、次の効果が期待できます。

  • 部品の軽量化
  • 摩耗の低減
  • 騒音の抑制
  • 潤滑油使用量の削減、または無給油化

MCナイロンが向いている用途

  • 一般産業機械部品
  • 搬送機械部品
  • ギア、スプロケット、ローラー
  • ガイドレール、スライドプレート
  • 軸受、ライナー部品

MCナイロンとPOM・PETの違い

MCナイロン、POM、PETはいずれもエンジニアリングプラスチックですが、 特性には違いがあります。 用途や使用条件に応じた材料選定が重要です。

以下は各材料の一般的な特性比較です。
実際の性能はグレードや使用条件により異なります。
比較項目MCナイロンPOMPET
材料系ナイロン6(キャスト成形)ポリアセタールポリエチレンテレフタレート
機械的強度優れる中程度〜優れる優れる
耐摩耗性非常に優れる優れる中程度
摺動性優れている良好相対的に低い
寸法安定性中程度(吸水の影響あり)非常に優れる非常に優れる
耐衝撃性優れる中程度中程度〜優れる
耐熱性中程度中程度優れる
吸水性あり非常に少ない非常に少ない
加工性切削加工に適する切削・成形ともに良好切削加工に適する
主な用途摺動部品、ギア、ローラー、ガイド精密部品、歯車、可動部高剛性部品、構造部品


MCナイロンとPOMの比較

POMは寸法安定性に優れ、精密部品に適しています。 一方、MCナイロンは耐摩耗性と機械的強度に優れています。 摩耗が多い用途では、MCナイロンが選ばれる傾向があります。

MCナイロンとPETの比較

PETは剛性が高く、耐熱性にも優れています。 MCナイロンは衝撃に強く、摺動用途で性能を発揮します。 用途に応じて材料を選定します。

MCナイロンのグレード構成

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MCナイロンの代表的なグレードサンプル(板材)
グレード名形状特長主な用途
MC901
(基本グレード)
食品衛生法
板・丸棒・パイプ機械的強度と耐摩耗性のバランスが良い一般産業機械、搬送機械、食品包装機械等の各種部品、車輪、ギヤ、スプロケット、ローラー、軸受、ライナー、スケートボード、ガイド、パレット
MC900NC
(基本グレード・ナチュラル色)
食品衛生法
板・丸棒
MC801
(耐候グレード)
板・丸棒・パイプ屋外使用に対応する耐候性建機、屋外で使用される機械の各種部品、シーブ、スライドプレート、軸受
MC703HL
(摺動グレード)
摺動
板・丸棒・パイプ摺動性と耐摩耗性に優れる搬送機械等の各種部品、ガイドレール、スライドパッド、軸受
MC602ST
(高強度・耐熱グレード)
板・丸棒高強度と耐熱性を重視一般産業機械、搬送機械の各種部品、車輪、ローラー、ギヤ、ライナー、治具
MC501CD R2
(導電・帯電防止グレード)
帯電防止
板・丸棒導電性、帯電防止性電子部品製造・搬送機械、クリーンルーム内で使用する機械部品
MC501CD R6
(帯電防止グレード)
帯電防止
板・丸棒帯電防止性
MC501CD R9
(帯電防止・耐熱グレード)
帯電防止
板・丸棒帯電防止性、耐熱性電子部品搬送ローラー、車輪、ガイド、溶剤取扱い箇所の部品
MC500AS R11
(ノンカーボン帯電防止グレード)
帯電防止
板・丸棒ノンカーボン、帯電防止性電子部品製造・搬送機械、ハンドリング治具

よくある質問

Q1. MCナイロンはどのような用途に使用できますか。

MCナイロンは、機械強度、耐摩耗性、摺動性が求められる用途に使用しやすいエンジニアリングプラスチックです。ギア、スプロケット、ローラー、ガイドレール、スライドプレート、軸受、ライナー部品などに適しています。

Q2. MCナイロンの特長は何ですか。

高い機械的強度、優れた摺動性、耐摩耗性を持つ点が特長です。大型素材の製造にも対応しやすく、厚物や大径部品の材料としても使いやすいです。

Q3. MCナイロンはなぜ金属代替に使われますか。

軽量化、摩耗低減、騒音抑制、潤滑油使用量の削減などが期待できるためです。摺動部品を中心に、金属部品からの置き換えで採用されることがあります。

Q4. 使用時に注意した方がよい点はありますか。

吸水の影響を受けるため、寸法安定性を重視する用途では事前確認が重要です。精密寸法が必要な場合は、POMやPET-Pとの比較検討もおすすめです。

Q5. グレードや見積りの相談は可能ですか。

MC901、MC801、MC703HL、MC602ST、MC501CD系など複数グレードがあります。見積りや仕様確認の可否は、形状、サイズ、数量、用途などの条件によって異なりますので、ご希望内容をお知らせください。

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