【物性】樹脂と温度変化について
温度変化による寸法変化の基本
年々、夏の酷暑や冬の寒さが厳しくなる中で、身の回りの物体は温度変化によって伸び縮みする性質を持っています。 樹脂や金属などの固体は、温度が変わることで寸法が変化し、その割合は「線膨張係数(線膨張率)」という物性で表されます。 例えば、電車が走行する際に聞こえるガタン、ゴトンという音は、温度変化によるレールの伸縮を考慮して設けられた継ぎ目が原因です。
線膨張係数という物性
固体が持つ物性のひとつに、線膨張係数があります。 これは温度が1℃変化したときに、材料の長さや体積がどの程度変化するかを示す指標です。 長さの変化を示すものを線膨張係数(線膨張率)、体積の変化を示すものを体積膨張率と呼びます。 一般的には、設計や加工の現場では線膨張係数が用いられることが多く、JIS規格では毎ケルビン(/K)や毎度℃(10⁻⁶/℃)で表されます。
PVC樹脂の温度特性
弊社で取り扱っている塩ビ(PVC)樹脂にも、温度変化に伴う寸法変化の特性があります。 線膨張係数は一定の数値ではなく、硬質PVCと軟質PVCでは異なります。 参考値として、硬質PVCは約50~100(10⁻⁶/℃)、軟質PVCは約70~250(10⁻⁶/℃)とされています。 なお、鉄の線膨張係数は約11.7~12.1(10⁻⁶/℃)であり、樹脂は金属に比べて寸法変化が大きいことが分かります。 温度変化による寸法変化は、「元の長さ × 線膨張係数 × 温度変化量」で求めることができます。
加工時に注意すべき温度の影響
温度変化は気温だけでなく、製品加工の工程でも発生します。 材料の成形、裁断、溶着などの加工では、外力や熱が加わるため、加工後すぐには寸法が安定しないことがあります。 また、材料には流れ方向と幅方向で寸法変化量が異なる特性があり、経験則に基づいた配慮も重要です。 事前に温度変化による影響を考慮しないと、完成後に寸法不良が発生するケースも多く見られます。

