不織布(Non-Woven Fabric)とは?
不織布の構造と基本的な考え方
不織布(Non-Woven fabric)は、糸を織ったり編んだりせず、 繊維をシート状に重ねて成形した素材です。 繊維同士が絡み合う多孔質構造を持つことが特長です。 軽量で、用途に応じた機能設計がしやすいため、 さまざまな分野で使用されています。
不織布が持つ代表的な特性
不織布は、繊維の種類や配置、結合方法を調整することで、 用途に応じた特性を持たせることができます。
- 通気性:空気が通りやすく、蒸れにくい
- ろ過性:空気や液体中の微粒子を捕集しやすい
- 保温性:軽量でも熱を保持しやすい
不織布が使用される主な分野
不織布は加工性が高く、使い捨て用途にも適しているため、 幅広い分野で利用されています。
医療・衛生分野
- マスク
- 手術用ガウン
- 衛生キャップ
- おむつ・生理用品
- ウェットティッシュ
産業資材・建築分野
- 防草シート
- 断熱材
- 各種フィルター(空調・液体・粉体)
自動車・生活用品分野
- シートカバー
- 内装材
- フェイスマスクやコスメ用シート
不織布は、単体では耐久性が十分でない場合があります。 ラミネート加工や複合加工を行うことで、強度を高めることができます。 その結果、長期使用を想定した用途にも対応できます。
不織布に使われる原料と製法
不織布は、使用する繊維の種類や製法によって、 性能や用途が大きく変わります。
主な原料
- 天然繊維:綿(コットン)など
- 再生繊維:レーヨンなど
- 化学繊維:ポリエステル、ポリプロピレン(PP)など
- ガラス繊維:耐熱・耐久用途
繊維の太さや長さ、配列方法、結合方法を調整することで、 不織布の特性は変化します。 スパンボンド、サーマルボンド、ニードルパンチなどの製法があります。 これらを組み合わせることで、 通気性や強度、吸水性などの機能を設計できます。

