プラスチックの性質 / 粘弾性とガラス転移点とは

プラスチックが持つ粘弾性という性質

プラスチックは、バネのような弾性と、粘土のような粘性を併せ持つ 粘弾性という性質を持っています。 そのため、速い速度で力を加えると弾性的に振る舞い、 ゆっくり力を加えると粘性的な挙動を示します。

プラスチックの粘弾性のイメージ
負荷速度による挙動の違い
弾性と粘性の関係

ガラス転移点(Tg)と温度の影響

プラスチックにはガラス転移点(Tg)と呼ばれる特有の温度があります。 Tgとは、材料が「ガラス状態」から「ゴム状態」へと変化する境界温度のことです。 この温度より低い領域では硬く脆くなり、Tgを超えると急激に柔らかくなります。 温度が物性に大きく影響する点も、プラスチックの重要な特徴です。

身近な例で見るガラス転移点

板状のチューイングガムには、酢酸ビニル樹脂が使用されています。 この樹脂のTgは約20〜30℃で、低温では硬く割れやすくなります。 一方、口に入れて体温で温められるとTgを超え、急に柔らかくなります。

ガラス状態のイメージ
ゴム状態への転移
温度変化による物性変化
ガラス転移点の概念図

粘弾性がもたらす挙動の違い

よく噛んだガムを速く引張ると硬いゴムのように切れやすくなり、 ゆっくり引張ると粘り強く伸びて切れにくくなります。 これはプラスチックの粘弾性による代表的な挙動です。

また、塩化ビニール(PVC)製のバッグやポーチは、 夏場は柔らかく感じられますが、冬場には硬く感じられることがあります。 これも温度変化が物性に影響を与えている例です。

温度によるPVCの硬さ変化
低温時の挙動
高温時の挙動

製造現場で注意すべきポイント

プラスチックは、工場の室温湿度の影響を受けやすい材料です。 低温環境で無理に折り曲げたり加工したりすると、割れや破れが発生しやすくなります。 そのため冬場の製造現場では、作業環境の温度管理を行い、 材料を適切な状態に保ったうえで慎重に加工する必要があります。