プラスチックの性質/粘弾性とガラス転移点とは
プラスチックはバネの様な弾性と粘土の様な粘性を合わせ持つ粘弾性という性質を有し、例えば、速い速度で負荷を与えると弾性的な、一方、非常にゆっくり負荷を与えると粘性的な挙動を示します。
又、ガラス転移点(Tg)という「ガラス状態」から「ゴム状態」に転移する温度を持ち、この温度よりも低い温度領域では硬く脆くなり、Tgを超えると急激に柔らかくなるという様に、温度が諸性質に影響を与えるのもプラスチックの特徴です。
【板状チューイングガムの例】
板状のチューイングガムはベースに酢酸ビニル樹脂が使用され、この特徴を良く表し、Tgは20~30℃で、口に入れる前は硬く、冬の時期ではパキッと折れることも有ります。しかし、口に含んで嚙み始めると、体温で暖められてTgを超え急に柔らかくなります。
また、よく噛んだガムを速く引張ると硬いゴムの様にプチッと切れ、ゆっくり引張るとスーッと伸びてなかなか切れず、プラスチックの粘弾性で興味深い挙動を示します。
【塩化ビニールの例】
夏の季節に活躍する柔らかいイメージの塩化ビニール製のバッグやポーチが、冬は硬いかなと感じられますが、これはプラスチックが温度の影響を受け易い現象です。
もちろん、生産の時も工場の室温や湿度で影響されるデリケートな材料で、硬いまま折ったり曲げたりすると、割れや破れが発生し易い為、冬場はヒーターやストーブで作業場の室温を上げて、素材が柔らかい状態にしてより注意深く製造しています。