【物性】樹脂と温度変化について

樹脂と温度変化について1

年々、今年の暑さは違うと酷暑が猛威を振う昨今の夏です。そんな中、人は暑いとダラ~ッ♪としたくなり、寒い冬は縮こまる感じがしてます。
同じく、身近な個体はどれも、温度変化により大きさが伸縮する特性が有ります。弊社取扱の塩ビ等樹脂をはじめ、鉄も温度変化に伴い寸法変化を来し、1℃あたりに変化する割合として線膨張係数(線膨張率)と呼ばれる熱的性質(物性)を持ちます。例として、日常利用している電車が走るとガタン♪ゴトン♪と音がします。
これはレールに依存している為で、長い距離を走る為にレールには繋ぎ目が有り、この繋ぎ目の隙間をタイヤが通るたびに音と振動を伴います。
何故、隙間が要るかというと、レールに使用される金属は熱を加えると膨張する性質が有る為です。また、レールは常に太陽光の熱を受ける為、夏は長い日差しにより隙間が少なく音が小さくなりますが、冬場は日差しが少なく隙間が大きいままで音も大きくなります。

樹脂と温度変化について2

個体の持つ物性:
線膨張係数※1℃あたりに変化する割合として線膨張係数(線膨張率)と呼ばれる熱的性質です。
温度変化に伴う、長さの変化や体積の変化の割合を示すことで熱膨張率ですが、長さの変化を表したものを線膨張係数(線膨張率)、体積の変化を表したものを体積膨張率と呼びます。
一般的には、線膨張係数で示すことが多い様です。
JIS規格では、毎度ケルビン(/K)、毎度℃(10-6/℃)と呼ばれます。
樹脂にも鉄にも身近にある個体全てが持つ物性なのですが、材質によってその割合が異なり、汎用樹脂では鉄に比べて1桁ほど大きい寸法変化が見込まれます。
例:(10-6/℃) ⇒ (10-5/℃) と表記が異なることもあります。

樹脂と温度変化について3

弊社で取扱いしている塩ビ(PVC)樹脂の熱的特性について触れたいと思います。
線膨張係数は、先述しましたが一定の数値ではありません。また、塩ビの中でも、硬質PVCと軟質PVCでは数値が異なります。
【例】
硬質PVC:50~100(10-6/℃)
軟質PVC:70~250(10-6/℃)
ちなみに、鉄:11.7~12.1(10-6/℃) 注)外部資料より抜粋してます
【温度変化に伴う寸法変化の求め方】
元の長さ×線膨張係数(10-6/℃)×温度変化量(元の温度-変化後の温度)

樹脂と温度変化について4

温度というと、太陽光の照射に伴う気温が主です。
ただ、製品を製作する為には材料に外力や熱が加わる状態で加工を施す工程を経ます。 
例・材料の製造/成型・材料の裁断や溶着など加工

ここで【寸法変化のマメ知識】
・素材は、製造時の原料の流れ方向と幅方向では寸法変化量が違います
・加工には引張力や熱を伴う為、加工後は安定するまで寝かせますなど、数値だけでは表されない経験則があります。
※加工前に考慮し、予め防止することが必要です。
(ご注意)
PVCフィルムでノートなどのカバーを作って、幅寸法と長さ寸法が小さくてノートが入らないので作り直しすることになるなど、実例は沢山あります。